タイトル:公立病院のKPI比較:日本 vs 英国
基本事実:二つの医療システム
日本と英国の公立病院システムは、いずれも高い需要のもと運営されています。しかし、主要なKPIを見ると両国に大きな違いがあります。
| KPI | 英国(公立病院) | 日本(公立病院) |
|---|---|---|
| 待機リスト/治療開始待ち人数 | 英国では2025年8月時点、待機リストが約740万人。 House of Commons Library+1 | 日本では「一般病床」の平均在院日数が2023年に15.7日。 Ministry of Health, Labour and Welfare+1 |
| 平均在院日数(一般病床) | 英国の全国平均としての最近の数値は、この要約内では明確に見つかりません | 日本:15.7日。 Ministry of Health, Labour and Welfare |
| ベッド数・ベッド稼働 | 英国ではA&Eで4時間以上待つ患者が約25%(2025年9月)など、混雑の指標あり。 Nuffield Trust+1 | 日本の病床数は人口1,000人あたり12.6床と、OECD平均を上回る。 OECD |
| 臨床指標/業績測定の導入 | 英国ではNHSデジタル等によるダッシュボードが整備。 UHS+1 | 日本の公立病院では2024年時点で58.5%が臨床指標を導入、大規模病院では88.1%。 ResearchGate+1 |
英国が遅れている理由:戦略・文化・制度的課題
英国は待機リストが非常に長く、18週間以内に治療を開始するという基準を長年満たしていません。 The King's Fund+1
インフラやキャパシティの問題:ベッド使用率が高く、A&Eでの長時間滞留が頻発しています。
日本では病床数が多く、平均在院日数が短く、臨床指標の活用が進んでおり、運用の規律も強い。
文化・組織的な差:日本の医療制度では効率・構造・プロセスが重視され、英国では財政・人材・設備の制約が強く、急速な改善が難しい状況です。
英国への教訓
病床・スタッフ・施設を含むインフラを強化し、待機時間と遅延を減らす。
平均在院日数を短縮し、入院患者の流れを改善して資源を効率化。
全ての病院で臨床・運用指標を拡充・活用し、パフォーマンスを可視化・改善。
継続的改善、運用の規律、資源最適化を制度文化として養う。